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ペロブスカイト太陽電池に取り組む有力企業を施工会社が詳しく紹介!

ペロブスカイト太陽電池に取り組む有力企業を施工会社が詳しく紹介!

目次

    ペロブスカイト太陽電池に取り組む有力企業を施工会社が詳しく紹介!

    ペロブスカイト太陽電池は国内企業が力を入れて開発している次世代太陽電池です。
    軽量で柔軟に曲がるフィルム状のパネルにより、建物の壁面や屋内の低照度環境など、従来のシリコン太陽電池では設置が難しかった場所でも発電が可能になります。

    メーカー各社は実用化に向けて技術開発や実証実験を活発に進めており、施工各社も新しい設置工法の開発に取り組んでいます。以下では、直近1年以内の公式発表やプレスリリースをもとに、国内企業の最新の取り組み状況を紹介します。

    GI基金を活用して開発する企業

    国のグリーンイノベーション基金(GI基金)の支援のもと、複数の国内企業がペロブスカイト太陽電池の開発を推進しています。GI基金事業「次世代型太陽電池の開発」では、ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証を両輪で進め、早期の社会実装(実用化)を目指しています。以下の企業は、このGI基金事業に採択され、技術開発や実証に取り組んでいる有力企業です。

    参考

    積水化学工業(株)

    積水化学工業はフィルム型ペロブスカイト太陽電池の量産化と実証を先導する企業です。
    2024年末には大阪府堺市の工場を取得し、新工場で2027年に年間100MW規模の生産体制構築を目指すと発表しました。既存設備を活用した年産10MW程度の試験生産も2025年度から開始し、まず変換効率15%・耐久性10年の製品を市場投入予定です。
    また積水化学はNTTデータなどと共同で、高層ビル外壁への設置実証も進めており、2025年には外壁設置時のしわ・たるみを抑える新工法の開発に着手しました。
    自社の新会社「積水ソーラーフィルム」も設立して量産準備を進めつつ、都市部での実用化に向けた課題解決に取り組んでいます。

    (株)エネコートテクノロジーズ

    京都大学発のスタートアップであるエネコートテクノロジーズは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の屋外定置用途への展開を本格化させています。2025年にはNEDOのGI基金実証事業に採択され、ロール・ツー・ロール方式を導入した量産技術開発に着手しました。これを機に屋外向け事業に本格参入しています。

    また、産学連合コンソーシアム(日揮、KDDI、YKK AP、トヨタ自動車、豊田合成など)を組成して技術開発から社会実装まで連携しています。エネコート社は屋内用の製品と屋外用の製品の開発を進めています。屋外用製品は駅ホーム屋根での発電実証(JR九州博多駅)に採用されました。

    (株)カネカ

    化学メーカーのカネカは、タンデム型を中心に高性能化と耐久性向上に取り組んでいます。自社設計のポリイミド基板と薄膜シリコン量産技術を応用したセルで、軽量・柔軟というペロブスカイトの特長を最大限に活かしています。この「サイズフリー・超薄型」技術開発テーマを通じて、カネカは建物壁面や曲面への設置など、設置場所の自由度向上と耐候性確保の両立を目指しています。
    2024年には大成建設の横浜支店ビルに意匠を改善したペロブスカイト太陽電池モジュールを設置し発電量等の検証が行われています。

    (株)アイシン

    トヨタグループの自動車部品大手・アイシンも、ペロブスカイト太陽電池の実用化開発に力を入れています。20年以上の有機薄膜太陽電池研究の蓄積を活かし、高効率かつ高耐久な薄ガラス型ペロブスカイトモジュールの開発を進めています。GI基金を活用している企業の中で曲げられるほど薄いガラス型のペロブスカイト太陽電池を開発している唯一の企業です。
    東京大学などと連携して耐久性や評価手法の確立にも取り組んでいます。

    また現場での施工性検証にも注力しており、2025年にはゼネコンの大林組と共同でファスナー固定式の着脱容易な設置工法を開発し、技術研究所屋上で性能試験を開始しました 。さらに太陽電池パネルの配置角度を工夫して年間発電量を20%以上向上させる設置方法も検証しており、寒暖差の大きい福島県の自動車販売店(ネッツトヨタ郡山 安積店)の壁面でもカラーパネルで実証実験を行っています。

    アイシンはこうした実証で得た知見をもとに、2028年の試験販売開始・2030年の本格量産を視野に入れて開発を進めています。

    さらに、愛知県の”あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会”ではコアメンバーとして参画するなど普及に向けた活動も盛んです。

    (株)東芝

    東芝エネルギーシステムズ(株)はタンデム型ペロブスカイト太陽電池(ペロブスカイト層+シリコン層)による高効率化を目指しています。
    このタンデム型ペロブスカイト電池は、2つの発電層を一体化した構造により既存システムと互換性がありながら、より高効率・低コストを狙える技術です 。

    2025年から国内初となるペロブスカイト/シリコン2端子タンデム太陽電池の実証実験を開始し、阪神高速道路と共同で高架下やビル壁面に設置して、既存シリコンパネルとの発電量比較を行っています。実証では日陰になる高架下でも性能を検証し、道路インフラへの活用策を探っています。
    得られたデータを踏まえてタンデム型ペロブスカイト太陽電池の実用化スピードを加速させる考えです。

    (株)Panasonic

    (株)Panasonicはガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発と実証を推進しています。

    2025年にはAGC(ガラスメーカー)やパナソニック環境エンジニアリングとコンソーシアムを組み、NEDOのGI基金事業に採択された「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」プロジェクトを開始しました。
    都市部のビル窓ガラス一体型太陽電池(BIPV)としての活用を想定し、インクジェット塗布やレーザー加工による高透過・自在なデザインを実現する技術を開発中です。2025年11月にはYKK APと協業して大阪市内のビル内窓にガラス型ペロブスカイトパネルを設置し、耐風圧性能など建材基準を満たしつつ発電できることを検証し始めました(谷町YFビルでの実装検証)。(株)Panasonicは2030年までの7年間で総額378億円規模の開発を計画し、ガラス型ペロブスカイトの社会実装に向けたリーダーシップを発揮しています。

    (株)リコー

    (株)リコーは複合機の開発で培った印刷技術を活用してフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発・実証を進めています。

    2025年9月には大和ハウス工業、NTTアノードエナジーとコンソーシアム組成し、GI基金に採択されています。同事業ではインクジェット印刷ペロブスカイト太陽電池生産技術開発に取り組み、ペロブスカイト太陽電池の強みであるロールtoロールでの高生産性・低コスト化の実現を目指しています。
    また、東京都の支援事業として東京体育館にペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯を設置しています。屋外環境での発電量や耐久性の検証が実施されます。一部のペロブスカイト太陽電池はインクジェット技術で作製されています。

    施工技術を開発している企業

    ペロブスカイト太陽電池の実証事業にはペロブスカイト太陽電池メーカーだけではなく一部の施工会社も取り組んでいます。独自の施工法を開発し、社会実装へ向けた重要なプレイヤーとしての役割を担います。

    (株)大林組

    大手ゼネコンの大林組も、ペロブスカイト太陽電池の建築物への適用技術を研究しています。

    2025年6月、同社はアイシンと共同で技術研究所本館(東京都清瀬市)の屋上にペロブスカイト太陽電池を設置し、容易に交換できる工法と年間発電量を最大化する設置方法の実証実験を開始しました。

    屋根に固定したメッシュシートをファスナーで留める取り外し式工法を採用し、パネルの部分交換が容易で長期保守性に優れることを確認されています。
    また、ペロブスカイト電池の軽量・柔軟・低照度に強い特性を活かし、従来は困難だった南向き以外の角度で多数のパネルを配置することで、同じ屋根面積で年間発電量を20%以上向上できるシミュレーション結果をもとに、複数角度でパネルを設置しています。

    大林組はこの実証から得る知見をもとに、ビル外壁やインフラ構造物など様々な構造物への適用を視野に入れて技術開発を推進するとコメントしています。

    日揮(株)

    総合エンジニアリングの当社は、ペロブスカイト太陽電池の実証施工で先駆的に取り組んでいます。当社はペロブスカイト開発企業への出資・協業も積極的に取組み、エネコートテクノロジーズ(株)にCVCファンドを通じて出資しています。

    施工面では、2025年10月にJR九州・エネコートと協力し、博多駅ホーム上の屋根にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を設置する国内初の実証実験を開始しました。
    駅ホームという安全性と短時間施工が求められる現場で、当社が独自開発した「シート工法」を採用した軽量モジュールを設置した点が特徴です。このシート工法は屋根を傷つけない施工コスト低減技術として、すでに北海道苫小牧や江の島での実証にも使われています。

    当社は今後も鉄道や工場屋根などへの適用拡大を目指し、次世代太陽電池の早期普及に貢献していくことを目指します。

    まとめ

    開発・実証の成果を対外的に発表している企業を主としてまとめました。ペロブスカイト太陽電池の社会実装の進み具合を知るためにも、各企業の動向は欠かせません。新しいプレスリリースが出た場合は更新しますので、引き続きチェックしてください!