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[2025年度下半期最新版]カルコパイライト太陽電池とは?ペロブスカイトとの違い・特徴・メーカーを徹底解説

次世代太陽電池
[2025年度下半期最新版]カルコパイライト太陽電池とは?ペロブスカイトとの違い・特徴・メーカーを徹底解説

目次

    [2025年度下半期最新版]カルコパイライト太陽電池とは?ペロブスカイトとの違い・特徴・メーカーを徹底解説

    次世代の太陽電池として注目される『カルコパイライト太陽電池』をご存じですか?ペロブスカイトと並び、再生可能エネルギーの未来を変える可能性を秘めたこの技術。しかし、どんな特徴があり、何が違うのでしょうか?この記事では、初心者にもわかりやすく解説します。

    カルコパイライト太陽電池とは?基本構造と仕組み

    材料と特徴

    カルコパイライト太陽電池は、CIGS(Copper Indium Gallium Selenide)(あるいはCIS)と呼ばれる化合物半導体を用いた薄膜型太陽電池です。この材料は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)から構成され、結晶構造がカルコパイライト(黄銅鉱)と同じであることからこの名前が付けられています。

    最大の特徴は、光吸収係数が高く、わずか数マイクロメートルの薄膜で十分な発電が可能な点です。これにより、従来のシリコン太陽電池に比べて軽量で柔軟なモジュールを製造でき、建物の壁面や曲面など、設置場所の自由度が高まります。また、耐久性や長期安定性に優れることから、屋外での長期利用にも適しています。

    従来のシリコン太陽電池との違い

    シリコン太陽電池は厚みが200μm程度必要ですが、CIGSは2〜3μm程度の薄膜で同等の光吸収性能を発揮します。そのため、材料使用量が少なく、製造時のエネルギーコストを削減できる点が大きなメリットです。

    さらに、カルコパイライト太陽電池はバンドギャップの調整が可能で、ガリウムの含有量を変えることで最適な光吸収特性を実現できます。この柔軟性は、将来的にペロブスカイトとのタンデム構造に応用される可能性もあり、次世代型太陽電池の重要な候補とされています。

    ペロブスカイト太陽電池との違い

    次世代太陽電池として注目される「ペロブスカイト太陽電池」と「カルコパイライト太陽電池(CIGS)」は、どちらもシリコンに代わる有力候補ですが、その特徴や課題には大きな違いがあります。ここでは、変換効率、耐久性・コスト、将来性の3つの観点から比較します。

    変換効率の比較

    ペロブスカイト太陽電池は、研究レベルで26.5%という高い変換効率を達成しており、さらにシリコンとのタンデム構造では34.85%という世界記録も報告されています。 一方、カルコパイライト太陽電池は、現在15%前後が一般的で、最新の研究では20%に迫る事例もありますが、ペロブスカイトに比べると効率面ではやや劣ります。

    耐久性・コスト面の違い

    耐久性では、カルコパイライトに軍配が上がります。宇宙空間や過酷な環境での利用実績があり、長期安定性に優れています。一方、ペロブスカイトは湿気や熱に弱く、長期耐久性の確立が最大の課題とされています。NEDOの報告でも、耐久性向上と低コスト化の両立が今後の重要テーマとされています。

    コスト面では、ペロブスカイトは印刷技術を活用できるため、製造コストを大幅に下げられる可能性があります。カルコパイライトは製造プロセスが複雑で、インジウムやガリウムといった希少金属を使用するため、資源リスクとコストが課題です。

    どちらが将来有望?

    結論としては、両者は競合というより補完関係にあります。ペロブスカイトは高効率・低コスト化のポテンシャルが高く、カルコパイライトは耐久性と実用化実績で優位です。実際、両者を積層した「タンデム型太陽電池」の研究が進んでおり、30%超の変換効率を目指す取り組みが加速しています。

    経済産業省や環境省も、ペロブスカイトを政府施設に率先導入する方針を示しており、カルコパイライトは軽量・フレキシブルな特性を活かし、設置困難な屋根や壁面での活用が期待されています。

    参考文献

    メリット・デメリット

    カルコパイライト太陽電池(CIGS)は、次世代型の太陽電池として注目されていますが、導入を検討する際にはその強みと課題を理解することが重要です。ここでは、メリットとデメリットをわかりやすく整理します。

    メリット(高効率・安定性)

    1. 高い光吸収効率と薄膜構造
      CIGSは光吸収係数が非常に高く、わずか2〜3μmの薄膜で十分な発電性能を発揮します。これにより、軽量で柔軟なモジュールを製造でき、建材一体型(BIPV)や曲面への設置など、デザイン性を重視する用途に適しています。
    2. 長期安定性と耐久性
      カルコパイライトは、湿度や温度変化に強く、長期信頼性が高いことが実証されています。宇宙用途や過酷な環境での利用実績もあり、耐久性の面ではペロブスカイトより優位です。NEDOの報告でも、CIGSは「実用化済みの次世代太陽電池」として評価されています。
    3. エネルギーペイバックタイムが短い
      シリコン系と比べると、製造に必要なエネルギーが少なく、約5か月で製造時のエネルギーを回収できるとされ、環境負荷の低減にも貢献します。

    デメリット(製造コスト・技術課題)

    1. 1. 希少金属の使用によるコスト増
      CIGSはインジウムやガリウムといった希少金属を使用するため、資源価格の変動リスクがあります。これが製造コストを押し上げる要因となっています。
    2. 2. 製造プロセスの複雑さ
      CIGSは真空蒸着やスパッタリングなどの高度な成膜技術を必要とし、大量生産のコスト低減が課題です。ペロブスカイトのように印刷技術で簡易製造できるわけではないため、普及スピードに影響しています。
    3. 3. 変換効率の限界
      最新の研究では20%に迫る効率が報告されていますが、ペロブスカイトやシリコンタンデム型に比べると、効率面での伸びしろは限定的と見られています。

    カルコパイライト太陽電池のメーカー -(株)PXP-

    (株)PXPは、カルコパイライト太陽電池の開発・製造を手掛ける国内ベンチャー企業です。弊社はPXPと共同で実証事業に取り組んでおり、今回はその最新動向をご紹介します。

    (株)PXPの最新動向

    PXPは、2026年度からの本格量産開始を目指し、今年中に量産ラインの建設を進めています。現在は、車載用途や屋外用途向けの製品開発に注力しており、NEDOの「2025年度 太陽光発電導入拡大等技術開発事業」にも採択されています。すでに複数の実証事業を実施中です。主な事例は以下の通りです。

    • 神奈川県:次世代型太陽電池普及促進事業として、バス車載用の発電実証を実施。
    • 相模原市 FUN+TECH LABO:多様な設置場所での発電性能を検証する実証事業を展開。弊社も施工会社として参画しています。
    • 福岡県・新潟県:協力企業として実証事業に参加予定。
    これらの取り組みにより、(株)PXPは今後さらに実績を積み重ね、次世代太陽電池の普及を加速させることが期待されています。

    市場動向と将来性

    カルコパイライト太陽電池は、次世代型の太陽電池として注目されていますが、導入を検討する際にはその強みと課題を理解することが重要です。ここでは、メリットとデメリットをわかりやすく整理します。

    研究開発の最新トレンド

    カルコパイライト太陽電池の最大の強みは、耐久性と実用化実績です。既に屋外での長期利用が確認されており、過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。しかし、課題も残っています。特に、インジウムやガリウムといった希少金属の価格変動リスクと、製造プロセスの複雑さによるコスト高が普及のネックとなっています。

    将来的には、資源代替技術やリサイクル技術の開発が進むことで、コスト低減が期待されます。また、政府の「カーボンニュートラル」政策や再エネ導入拡大の流れを背景に、カルコパイライト太陽電池はペロブスカイトに続く次世代太陽電池の有力候補として位置づけられています。特に、軽量・曲面対応という特性を活かし、従来設置が難しかった場所への導入が市場拡大のカギとなるでしょう。

    また、フィルム型でペロブスカイトとカルコパイライトのタンデム太陽電池が実現すれば、超効率の軽量フレキシブル太陽電池によって更に市場が拡大する可能性もあります。

    まとめ

    カルコパイライト太陽電池(CIGS)は、軽量・フレキシブル・高耐久という特性を持ち、既に実用化されている次世代型太陽電池です。
    一方で、ペロブスカイト太陽電池は高効率・低コスト化のポテンシャルを秘めています。両者は競合というより、用途や環境に応じて使い分けるべき技術といえるでしょう。また、補完し合うことで超効率の軽量フレキシブル太陽電池としての利用の可能性があります。

    未来戦略室 プロジェクトマネージャー 永石 暁 さん

    この記事を書いた人

    未来戦略室 プロジェクトマネージャー 永石 暁さん

    2010年新卒入社。国内外プロジェクトで機械エンジニアを経験後、現部署にて新規事業開発およびスタートアップ投資でエネルギー分野を担当し、「どこでも発電所」事業のリーダーを務める。早期からペロブスカイト太陽電池製造のスタートアップと連携し、プラントエンジニアの知見を活かして”シート工法”を発明。設置施工の立場から薄膜太陽電池業界に参入し、登壇・寄稿実績多数。趣味は温泉とラーメン屋巡り。