シート工法のメンテナンス性を比較:ガラス型シリコン/他のフィルム型工法との違い
目次
屋根置きの太陽電池が壊れると交換費用がとても高い——そんな不安に対し、シート工法 メンテナンスは「軽さ」と「着脱性」で答えます。必要なときに必要な範囲だけ、短時間で手当てできることが最大の強みです。
メンテナンス性の比較
ガラス型シリコンとの違い(重量・破損時の交換)
ガラス型シリコンは重くて割れやすく、屋根置きの場合は交換時に人手や機材が増えがちです。パネル1枚の入替でも、架台や固定金具の再調整、周辺ケーブルの再配線が必要になることがあります。
一方、シート工法はフィルム型太陽電池を柔軟なシートに一体化し、専用金具でシートごと固定します。軽量なので持ち運びと荷揚げが楽で、部分補修・ユニット交換が少人数で行えます。固定点が整理されているため再施工性が高く、OPEX(運用保守コスト)を抑えやすいのが特徴です。
他のフィルム型工法との違い
直貼り(接着)工法は、施工が速い半面、一度貼ると外しにくいのが弱点です。下地の防水補修や配線の引き直しが必要になっても、粘着層の除去や再接着に時間がかかります。
シート工法は非直貼りで、シート単位の脱着が前提です。貼り替え・再敷設・増設に強く、交換性・部分補修の柔軟さが段違いです。屋根防水との取り合いも管理しやすく、改修サイクルの短い工場や倉庫に向きます。
参考文献
- 1. 太陽光発電協会(JPEA)「太陽光発電設備の保守点検ガイドライン」(2019年12月)
- 2. 経済産業省/資源エネルギー庁「太陽光発電の安全・保守に関する留意点」
- 3. NEDO「太陽光発電システムの信頼性・保守に関する技術資料」
点検・清掃の実務
点検の基本は見て触って確かめることです。少なくとも年1回、台風・降雪・大規模修繕の後は臨時点検を推奨します。
- 外観:汚れ・変色・膨らみ・傷。発電低下の初期サインです。
- 締結:金具の緩み・脱落。シート工法は固定点が把握しやすく、増し締めが容易です。
- ケーブル:被覆の擦れ・コネクタの焼損・ラベリングの欠落。配線の结束・支持を再確認します。
- 防水:屋根のシール劣化、貫通部(ある場合)のシール状態、排水経路の詰まり。
参考文献
- 2. IEC 62446-1「系統連系PVの検査・文書化・試験」
故障モードと対処(交換性・部分補修/故障モード)
はく離・端部劣化・配線損傷の兆候
薄膜太陽電池モジュールは端部からの劣化に注意します。白濁・浮き・変色は封止劣化のサインです。ケーブルは被覆の擦れやコネクタ緩みが典型例で、放置すると発熱・発電低下・最悪は事故につながります。発見したら写真記録→範囲特定→一次対処の順で進めます。
部分補修/再貼付/ユニット交換の判断
- 部分補修:局所の剥がれ・緩み・小傷は、コーキング追加や固定具の増し締めで応急対応します。
- シート交換:シート単位で劣化が広がる前にシートごと脱着し、補修後に再設置します。地上で補修後に再設置します。直貼りより短時間で現状復帰できます。
- モジュール交換:太陽電池モジュールの性能低下・破損が顕著な場合は交換が確実です。シート工法は少人数・短時間で実施しやすく、OPEXの予見性が高まります。
まとめ
必要なときに、必要な範囲だけ。
シート工法は、保守の手間と時間を小さくして、発電の止まり時間を短くします。導入段階で点検しやすい設計にしておくことが、長く安心して使う一番の近道です。
この記事を書いた人
未来戦略室 プロジェクトマネージャー 永石 暁さん
2010年新卒入社。国内外プロジェクトで機械エンジニアを経験後、現部署にて新規事業開発およびスタートアップ投資でエネルギー分野を担当し、「どこでも発電所」事業のリーダーを務める。早期からペロブスカイト太陽電池製造のスタートアップと連携し、プラントエンジニアの知見を活かして”シート工法”を発明。設置施工の立場から薄膜太陽電池業界に参入し、登壇・寄稿実績多数。趣味は温泉とラーメン屋巡り。